第8章 dramatically
「え?お母さんに似てるって…。」
私が驚いていると、総隊長は何か懐かしむように柔らかな笑顔を私に向けた。
「瀬越は優秀な死神じゃったよ…。」
「一番隊だったんですか!?」
「そうじゃ。しかし戦いを好まん性格でな、執務をこなす方が良いと言っておったから儂の秘書として働いてもらっておった。」
(意外な事実…結構アハアハしてそうなのに…。)
なかなか想像が固まらないお母さんの秘書姿。
「お主とここで初めて会った時に、母親の姿が重なって見えたのじゃ。容姿も中身もよく似ておる。」
「なんか、嬉しいです。お母さんもきっと今喜んでますよ 。」
「…そうか。」
(うわぁ~、なんかおじいちゃんと話してるみたい。)
「総隊長って思ったより身近なおじいちゃんですね。」
私の言葉に総隊長の眉毛がピクリと動いて、やばい…と思った瞬間、本当に嬉しそうに口角を上げて総隊長が笑った。
「お主にそう呼ばれるのも悪くないな。儂がおじいちゃんなら、
雲雀は孫娘じゃな。」
「随分と年の離れたおじいちゃんと孫ですね。」
家を離れて生活している私にとってこの会話はすごく温かみのあるものだった。
(この瀞霊廷には、本当に素敵な人がいるんだな…。
私も仲間として暮らしていけたら…。ん?)
心の中で死神達への思いを膨らませていただけで、決して霊圧をいじろうなんて思っていなかったはずなのに、どうしてか総隊長の霊圧を感じる。
そして総隊長も同じく私の霊圧に気付いて目を見開いた。
「あれ…?私、もしかして今できてます…?」
「…出来ておるな…。」
(もしかして…お母さんが言ってた…王族だとバレたら皆が驚いちゃう…って言うのが関係してる?)