第7章 excitement
「うちの副隊長だよ。」
私の視線の先にあるものを察して、すかさず浮竹が紹介した。
「瀬越雲雀です。よろしくお願いしますね。」
「…朽木ルキアだ。」
朽木は何だか他人を寄せ付けたくないオーラが出ている。
だって私を見る目がまるで不審者を見ているみたいだったから。
そのうちプイっと逸らされて「失礼しました。」と出ていってしまう始末で。
(仲良くなるには時間が必要かな。)
あからさまな態度をとられてもお近づきになろうとする私も完璧に不審者だな…って思いながら浮竹に最後の書類を渡した。
「ちょっとクシャっとなっちゃってますね…。」
「ここまで来るのに随分苦労したんだね。」
薄く皺が入った紙を手に持ちながら浮竹は優しく笑った。
「はい。全部の隊を回らなきゃいけなかったので。」
「ははは…本当にお疲れ様だね…ケホッケホッ」
温かい微笑みから一変、苦い顔をして浮竹が咳き込み始めて狼狽える。
「だ、大丈夫ですか?」
「けほっ、心配、いらなっケホッ…」
収まる気配のない浮竹の咳を心配して、顔を覗き込んだ。
ただの風邪ではなさそう。と思い、何とか浮竹を楽にしてあげたいと考えた挙句、治癒を行うことにした。
(霊圧上げなきゃ…またちょっと上げただけで騒動になったら嫌だけど…。)
「浮竹隊長、ちょっとじっとしてて下さいね。」
浮竹の真後ろに膝をついて背中に両手を翳す。
そして何度も自分に言い聞かせた通り、治癒ができる程度の霊圧を開放した。
薄い青色のぼんやりとした光が手の平から発せられ、
それを浴びた浮竹の咳は数秒後にピタリと止んだ。
同時に私の霊圧もまた消える。
「楽になりましたか?」