第7章 excitement
私に近づいてくる強面で屈強そうな男の肩に、
草鹿がちょこんと手を振りながら顔を覗かせていた。
体格差が激しく見えるこの2人もよく観察すると仲睦まじいのだ。
(この人、隊首会で私のこと興味無さそうに見てた人だ…!)
「ん?お前、どっかで会ったか?」
「隊長の知り合いですか?」
綾瀬川が興味ありげに問う。
「さあな。おい、俺に会ったことあるか?」
「ありますよ。ついこの前の隊首会で呼ばれた者です。」
「そこで私とも会ったんだよー!」
「やちるは私のこと覚えててくれてるのね…!」
「可愛いから!」
「きゃー!本当に!?嬉しい!」
「おいでけー声出すんじゃねぇ!」
「す、すみません。」
「雲雀、僕はもっと君のことを美しいと思っているよ。」
「あ、はい。」
どう見ても初めましての私が隊の人と騒いでいるのが信じられない様子の周りの死神達は、何を勘違いしたのか、
「あの人、実は超強いんじゃねぇか?」
「隊首会に呼ばれたって言ってたし…。間違いねぇ。」
とコソコソ話し始める。
その会話がこの隊の隊長に聞こえたようで、好戦的で狂気さえも感じさせる笑みを浮かべた男へと変貌する。
「…俺は更木剣八だ。」
「あ、私は瀬越雲雀です。」
「どうでもいいが、俺と戦ってもらうぜ!」
「ちょちょちょっ!」
更木が突然持っていた木刀を振りかざし、私はギリギリのところで左に避けた。
(自己紹介したのにどうでもいいって…ていうか不意打ちは酷い!
二度目!二度目だよ!この隊何なの!?)
こんな時でも、私の思考は攻撃されて怪我をしかけた人が思うこととは程遠い。
なびく更木の羽織の隙間から草鹿が避難しているのを確認して、
また振り下ろされた木刀を後ろに避けた。