第7章 excitement
「あの〜…長居はできないのですが…。」
「いいのいいの。僕が言っといてあげるから。」
(これは非常に困った状況…。)
書類を届けに来た私は、隊長はまた仕事を放棄しているんです。と困っている八番隊の人に言われ、京楽探しに参加した。
京楽は屋根の上で寝てそうだなという私の勘に従うまま、
瀞霊廷の街の屋根を端から捜索していけば、思ったとおりだった。
頭に被っている傘をずらして日除けのようにして、気持ちよさそうに寝転がる京楽を見つけた。
「どうして中で寝ないのですか?」
私には良く分からない。だから訝しげに聞いた。
そしたら上体を起こして片手でひょいと傘を元に戻し、私の方を見た。優しい目だった。
「んー…外の方が楽しいから…かな。」
やっぱり私には良く分からない。
京楽は首を傾げて難しそうに考え込む私を見て
「君、書類を届けに来てくれたんでしょ。僕もそろそろ隊に戻るよ。」
と言って歩き出す。一歩二歩と足を進めたところで、ふと何か思い出したように私の方を振り向いた。
「ちょっと付き合ってもらえるかな?」
「?…わかりました。」
そうして連れてこられたのが有名な甘味処で、奢りだから、と団子をご馳走してもらう事になったのがついさっき。
「…雲雀ちゃん、どうして自分がこんな大役に選ばれたんだって顔してたね。」
人の良さそうな顔をしてパクリと団子を頬張る。
「はい。急な事で…とても驚きました。」
「どうしてだと思う?」
今までとは比べ物にならない低い声に、私はおずおずと顔を上げる。磁石のように引き寄せられた視線が捉えたのは、何かを見通す力を秘めているんじゃ、と冷や汗をかきそうな位の瞳。
(この人は何か解るの…?)