第7章 excitement
「では、私はこれで。」
急な展開だったにも関わらず、朽木は自分の勝手な願いを聞き入れてくれた雲雀に感謝した。
そして、別れの言葉を言った時の雲雀の、全てを包み込んでくれる、優しくて温かな笑顔を瞼の裏に焼き付けたのを、目を閉じて何度も写し出す。
そうだ。
この笑顔。
この笑顔が、似ている。
冷めきっていた心に、新たな風が吹いたのを朽木は穏やかに感じていた。
「不思議な人だったなぁ〜。無表情だと思ってたら意外と分かり易いし。可愛いかも。」
折返し地点となる七番隊の扉をノックしてから足を踏み入れる。
「失礼します。一番隊の瀬越雲雀です。隊長はいらっしゃいますか?」
「今隊長は居ません。良ければ受け取ります。」
私にそう言って書類を受け取ってくれたのは副隊長の射場だった。
強面のおじさんっぽい印象を受けた私は、ひきつった笑顔を浮かべて「ありがとうございます。」とお礼を言って七番隊を去った。
「やはり席官の人は個性が強い人が多いのね…!」
それなら一応私も席官の死神。
どうなんだ…?個性はあるのか…?
「…無いわね。うん。全然無いわ。」
自分は席官に向いてないのかもしれない。
意識した瞬間に気持ちが重くなる。
八番隊への道を歩きながらどうしようもない不安を募らせるばかりだった。