第6章 dream
「一番隊の瀬越雲雀です。書類を届けに来ました。」
「ああ、ご苦労だった。」
机の上の資料を要領よくこなす朽木はとてもスマートで絵のようで。彼の邪魔にならないよう、私はその側にそっと音を立てないように近づいて、空いているスペースに手元の資料を置いた。
そして、音を立てないように帰ろうと踵を返そう…とした時だった。
「兄は、他人の霊圧を感じ取れないのか?」
(なんかさっきも似たようなことが…。)
突然すぎる質問に一瞬何て答えたらいいのか分からなくて黙り込んでしまう。
「あの、どうして…?」
自分でも知らない内にそう言っていた。
朽木は眉を顰めて考える様な仕草をする。
(しまった!捉え方によってはぶっ飛んだ答えが帰ってくるような聞き方しちゃった!)
私はどうしてそう思うんですか。という、
『私が他人の霊圧を感じ取れないと思う理由』を聞いたのだ。
だけど、もし『どうしてあなたが聞くんですか』
と言っているんだと思われると、話の方向がズレてややこしくなってしまう。
しかし、そんな心配は必要なかったようだ。
「兄はいつも人の姿を目にしてからそやつの存在を確認する。
死神ならば霊圧で探れるはずだ。」
(さ、さすが隊長…私の言いたいことをわかってくれた上に、よく観察してる…。)
「それに兄からはあまり霊圧を感じぬ。」
「その事なんですけど…何て言うんですかね、その、知らない内に霊圧を抑えてて、同時に霊圧を感じることが出来なくなって…みたいな…。」
私の言葉に共感ができないのか首を傾げて「そんなことが起こるのか…。」と驚いた様子で聞き入っていた。