第6章 dream
「斬魄刀が無くても平隊員は浅打さえあれば良い。それに何も起こらないのは、君が霊圧を完全に漏れないようにしているから、じゃないのかい?」
「そうなんですか?」
「…君は自分が霊圧を抑えていることを自覚していないようだね。」
私を射抜く様な確信を持った声と目に変な汗が額から流れた。
「自覚は、して、ます。後から…。あ、でも無意識のうちに抑えてる、ん…だと思います…。」
「抑えたあとで気づくのか?ほう…なかなか面白いね。」
(どうしようこの人なんか怖い!猫の仮面を被ってそう…。)
鳥肌が立った腕を掌で擦ってる私の姿を見て、いよいよ不気味に口元を歪める藍染。
「少し、霊圧を残しておけばいいんじゃないかな?」
「わ、わかりました!あの、失礼しました!」
深く一礼してから猛スピードで部屋を飛び出た。
丁度頼まれた仕事を終えた雛森とすれ違い、明らかに急いでいる私を見て不思議そうに首を傾げる。
「またね!」
「雲雀?え、あっ、バイバーイ!」
雛森はとんでもない速さで駆けていく雲雀の背中に向かって叫んだ。そして姿が見えなくなってから、何だったんだろ?と一人呟いたのであった。
「はぁ〜…もう怖かった〜!」
五番隊から走って逃げてきた私は息を整えながら、また次の隊を目指す。
「ほんと個性が強い人達が多いんだから…。特にマユリさんなんてキャラ爆発のお手本…いけない言っちゃダメだった。」
六番隊まで来て、ようやくここまで来た、と疲れ切った顔で笑った。
(楽しいんだか終わるのが嬉しいんだか…。)
早く終わらせたい気持ちが湧いてきたのを、手で頬をペチペチと叩いて考えないようにした。もう一度気合を入れ直して、隊舎の入口をくぐった。