第6章 dream
一見怖そうに見える虎徹だけど、ほわほわな雰囲気が出ていて近寄り難い印象は無かった。
「こちらこそ!」
私が笑うと虎徹も笑ってくれた。
(今日はいい出会いがいっぱいあるなぁ〜!)
「そうだ、渡さないといけない書類があるんでした。」
危ない。危うく本命を忘れてしまう所だった。
「ありがとうございます。良かったらお茶して行きますか?」
「すいません、まだこの後も仕事があるんです。
でもいつか行かせてもらいますね!」
「そうですか。仕事熱心なのは良いですが、くれぐれも倒れてからお邪魔しに来ちゃダメですよ。」
「ふふ、はい!」
二人にお礼をして四番隊の隊舎に入ることはなく、私は次の目的地である五番隊へ向かう。
そこでまたまた運良く副官章を付けた女の子を見つけた。
「あの、一番隊からの書類を届けに来た瀬越雲雀です。
五番隊の方ですか?」
すると女の子は優しい笑顔を浮かべながら「そうですよ。」と答えてくれた。
(可愛い…しかも副隊長って、すごいなぁ…。)
「私、雛森桃。桃って呼んでね。あと、敬語もできればなくして欲しいなぁ…?」
間違いない。いい子だ。
私の勘がそう告げる。
「良いんですか?じ、じゃあ…桃も私のこと雲雀でいいよ。」
「うん!よろしくね。」
「はい!えと…で、今隊長って不在?」
「居ると思うよ。着いてきて。」
雛森は自然な流れで私の手を取って歩き始める。
(手、ちっちゃくて良いな…しかも可愛すぎる!)
私よりも背が低くて小柄な子なのに、見習いたいほど頼もしい。
きっと慕われているんだろうな、と思ってしまうと自分がまだまだなんだと思ってしまう。
(私もこんな風になりたいなぁ…!)