• テキストサイズ

奈落の底から【BLEACH】

第6章 dream


「いやぁー豊作豊作。」

上機嫌な市丸は紐で繋がれた干柿をたくさん腕に抱えていた。

「にしても皆ボクが彼女連れてきたんちゃうかって話ばっかしとんねん。困ったもんやなぁ…。」

(ああ…だから皆さんあんなに驚いて…でも…。)

声こそ本当に困っているように聞こえるのに、
表情が全く変わらないせいで本心なのかわからない。

「でも、雲雀ちゃんが彼女なら文句ないわ。」

「なっ、隊長、こんな所で口説かないでください。」

「なんやイヅル、そんな顔赤くして。まさか…。」

「ち、違います!これはそのっ…」

「あの、おトイレに行きたいのなら、私は構いませんよ?」

「あ、はい、そう言う事なので…失礼しますっ。」

慌てて出ていく吉良に、最初に会った時の面影は微塵もなかった。
その姿を楽しそうに見ていた市丸は、私の方を振り向くと向かいの椅子に座った。

「雲雀ちゃん干柿食べれる?」

「はい、好きですよ。」

「ほんまに?ならいっぱい食べや。」

手際良く紐から柿を外して私に手渡してくれる。
甘い匂いが私の鼻をツンと、柔らかく掠めた。

「自家製の干柿なんて初めてです。柿が好きなんですね。」

「ま、ボクの大好物やからな。」

そう言ってパクリと干柿を頬張る。
私もつられてかじると、柿の香りがふわりと鼻から抜け、
上品な甘味が口いっぱいに広がった。

「美味しい〜!甘いもの食べるの久しぶりなので沁みますねぇ…。」

「雲雀ちゃん女の子やのに甘いもん頻繁に食べてへんねんな。」

「はい…ずっと経済的に良くない状態が続いてたので…。」

(ようやく毎日1食朝ご飯だけの日々にさようなら…!)

「大変やってんなぁ。雲雀ちゃん、もし良かったらな…」

/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp