第6章 dream
咄嗟に感じた底知れない恐怖に私は固まってしまった。
(何…だろう…凄く怖いけど、怖いだけじゃないこの感じ…。)
「市丸ギンや。よろしゅう…ボクの顔そんなに眺めて、何かついてる?」
「あ、いえ、まさか隊長だとは思ってなくてびっくりしただけです。」
「…ふぅーん…ま、三番隊に来たって事はボクに会いに来たんやんな?」
「はい…。」
この人には私の考えている事を見透かされている。
咄嗟に誤魔化した時の言葉だと解っている。
私はそう思った。
「ま、とにかく中入ろか。」
「はい。」
私の前を歩き始めた市丸の背中を追いかけて、三番隊の隊舎へと入った。途中数人の隊士の人とすれ違い、驚きの目で見られながら、案内されたのは隊首室。
「そこに座って待っといて。」
ソファを指差して市丸はそそくさとどこかに消えてしまった。
示されたソファに座ってしばらくじっとしていると、
部屋の横の扉から現れて、湯呑を前のテーブルに知らない金髪の人が置いてくれた。
「ありがとうございます。あの…副隊長の方ですか?」
「はい。吉良イヅルと言います。」
「私は瀬越雲雀です。これからお世話になりますね。」
「…い、いえ…ごゆっくり。」
気のせいだろうか吉良の頬が少し赤い。
しかもさっきのように落ち着いてなくて、そわそわしている。
(トイレ行きたいのかな?私を接客してるせいで行けないとか?)
「私のことはお構いなく。」と言おうと口を開いた瞬間、
勢いよく開いたドアからあの笑顔を色濃く不気味にした市丸が上機嫌で部屋に入ってきた。