第6章 dream
「この後も資料を届けに行かないといけないんです。申し訳ございません。」
「じゃあ今度一緒に飯食いに行こうぜ。」
「なら私も行こう。」
「何で隊長が!?」
「お前一人だと何をやらかすかわからないからな。」
「くっそ~っ…!」
本当に漫才を見ている気分だった。
一見噛み合わなさそうな二人がこんなにも息ピッタリだと、
逆に羨ましく思えてきて、私は吹き出してしまった。
「ふふっ。」
「…なぁ、お嬢ちゃん。」
「はい?」
「あんた、笑ったらもっと綺麗だな。」
「は、はぁ……。」
「大前田、初対面の女の子を困らせるな。」
「なっ!正直な気持ちを言っただけだぞ!?」
「ありがとうございます…。」
「また懲りずに来てくれたら嬉しい。」
「是非お伺いしますね!」
その後、二人に別れを告げて向かったのは三番隊。
どんな隊なのかあまり記憶してなかった私は少し緊張していた。
(確か、男の人が隊長だった気が…ん?)
角を曲がれば三番隊の隊舎という所で誰かに腕を掴まれる。
「え?きゃっ!」
グイッと引っ張られるがままに私の体は後ろに倒れた。
しかしいつまで経っても襲ってこない衝撃と、
背中に感じた誰かの体温。
「君、前の隊首会に呼び出されてた子やんな?
雲雀ちゃん…やったっけ?」
「はいっ!そうですけど…!?」
慌てて離れようとするも、お腹に回された力強い腕がそうさせてくれない。
「一番隊の四席さんやのに、ボクの霊圧に気付かんかったん?というか、雲雀ちゃん、霊圧消してる?」
「け、消してます。」
(早く離してぇ~!ってか誰!?)
耳元でクスッと笑う声が聞こえて、ようやく私は解放された。まだ心臓が落ち着かないまま後ろを見ると、貼り付けた様な笑顔を浮かべた銀髪の男性が居た。