第6章 dream
今日一番の軽い足取りで向かったのは二番隊隊舎。
(二番隊って、確か小柄な女の人が隊長だったよね。
仲良くなれたらいいんだけどなぁ〜。)
入口を通ったところで二番隊の男性と鉢合わせになる。
相手は何処のどいつだと疑う視線を向けてきた。
「あの、隊長さんってどこにいますか?」
「隊首室ですけど…あなたは?」
「あっ、申し遅れましたね。瀬越雲雀です。一番隊から来ました。」
男性は一瞬驚いた顔をして私を通してくれた。
(なーんか…お前が一番隊だと?みたいな感じだったわね…。)
少し腹が立った私は膨れっ面をぶら下げて隊首室の扉をノックした。
しかし中からの反応が無く、辺りはシンと静まり返っていた。
(あれ?まさかの留守?…さっきの人嘘ついた!?)
膨れっ面の眉間に皺が寄りだした時、廊下の奥から男女の言い合う声が段々と近づいてきた。
「…全くそんなもののために私を呼び出しやがって。
私は大前田のように暇じゃないんだ。」
「俺だって暇じゃねぇよ!毎日雑誌をチェックして…」
「それを暇と言うんだろう!」
言い合いをしている女性の方は短髪で、左右の髪を編んでいる隊長羽織を羽織った小柄な人で、男性の方はふくよかな体型に豪華そうなアクセサリーをたくさんつけ、襟の部分が特徴的な格好をした人だった。
「だってようやく俺が待っていた新作の…って、誰だ?」
ようやく私の視線に気付いた大前田が私に正体を訊いた。
「あの、お取り込み中すみません。一番隊から来ました、瀬越雲雀です。今日は二番隊の隊長さんに渡す資料がありまして…。」
「そうか。ご苦労だった。」
笑顔で私から資料を受け取ってくれた砕蜂の後ろで、何やら大前田が私の顔を瞬きもせずにじっと見つめていた。
「お嬢ちゃん、これから暇か?」
「お前は何時だって暇だろ。」
「う、うるせぇ!今は嬢ちゃんに用があるんだよ!」
「えと……。」