第6章 dream
何もかもが急過ぎた昨日を振り返りながらやってきた一番隊隊舎。
緊張しながら廊下を歩けばエリート達の視線に晒される。
(こ、怖い…絶対来るべきじゃなかったよね…!)
目の前ではしないが、私が通り過ぎた後に皆がヒソヒソと何かを話始めるので耳を澄ませてみると、やっぱり私は快く受け入れられてないんだと実感した。
『あの人が代理の四席?』
『総隊長が自分から頼んだらしい。』
『にしては霊圧感じねぇな。』
『斬魄刀も見当たらないし。』
『あんなやつが一番隊に居て大丈夫なわけないよ。』
…苦しかった。
最終的な判断を下したのは私だったけど、決して好き好んで来たんじゃない。そして何よりこんな私が、一発目から席官クラスの死神に選ばれた事に対して、嫉妬する人が出てくるはずだって隊長たちは分かってくれていた筈なのに。
重くなった足を動かすのもしんどい。
背中に突き刺さる鋭い視線を感じると、どうしようもなく泣きたくなった。
(どうして私なの?死神には向いてないんだって伝えたのに、
なんで総隊長は私を最後まで推したの?
こんな見ず知らずな私を…。)
隊長への不信感と疑念で頭を巡らせているといつの間に着いたのか、書類が積まれた私の仕事机の前に立っていた。
ふと周りをぐるりと見回すと、皆私を好奇の目で見ながらも自分の仕事をこなしているようだった。
…一番隊で良かったのかもしれない。
もしエリートの集いである一番隊でなければ、きっと私に仕事を押しつける人や嫌がらせをしてくる人だって居るはずだから。
(やるしかない…頑張って認めてもらうしかないよね。)
覚悟を決めた私は今日から一番隊の四席として過ごして行く事となった。