第5章 stand
「おっきい建物だね〜!しかも景色が良い!」
「はしゃぎ過ぎだ。コケるぞ。」
子供の様に駆け回る雲雀に警告した瞬間に、
案の定ステンと何もない場所で足を滑らせて倒れる雲雀。
「うへぇ〜…。」
「ったくおめでたい奴だな…ほらよ。」
少々呆れ気味に差し出された日番谷の手を握り、
「ありがと。」と笑顔で上目遣いのまま起き上がる。
吸い込まれそうなほど澄んだ瞳と、
元々美人な顔立ちが角度で愛らしく見え、
血液が沸騰するのではと思う位日番谷の身体が赤く燃え上がる。
「………クッソっ!お前可愛すぎだ!」
「ん?あ、本当だ可愛いーっ!もしかして副隊長!?」
日番谷は雲雀の事を言ったのに、
全く自覚症状の無い雲雀は誰の事だと後ろを向き、
ピンク色の髪をした小さな死神を見つけた。
「私草鹿やちるって言うの!お姉ちゃんは?」
「私は瀬越雲雀。よろしくね!」
「うん!せーせー可愛い!」
「もー、やちるの方が千倍可愛いよ!」
「………。」
日番谷そっちのけでやちるとチヤホヤする光景を見て、
何も言えない日番谷。
出るのは疲れた溜息だけで、無言で一番隊隊舎へ入ってしまった。
ようやく扉が閉まる音でハッとして、やちると別れて日番谷の後を追う。
「冬獅郎待って〜!」
ピッカピカの廊下を走り抜け、一と書かれた大きな扉の前で止まる。
「うっわ、地獄の入り口みたい…扉の向こうに閻魔と鬼の花道と…
嘘ついたら、針山行きだ!みたいな…あれ?舌を引っこ抜くぞ!だっけ?」
よくわからない空想を一人で言っている間に扉がゆっくりと開いた。
隙間から何やら人影が見える。
「ハイテクだぁ〜…。」