第5章 stand
流石隊長と言うべきであろうか。
周囲の霊圧を感じ取る事に長けている私でも、隊長達の霊圧には気付かなかった。
複数居たのにも関わらず…だ。
(花道と主格人物……地味に当たってた……。)
中央奥に一番偉そうな老爺と、
その両脇に内側を向いた十二人の個性豊かなメンツがズラリ。
そして、私のおバカな独り言が聴こえていたのか、全員私を見ながらクスクス笑う。
「名は何と申す。」
(お、お爺ちゃん喋った!?…そりゃそうか。)
「瀬越雲雀です。」
「なぜ呼ばれたかは理解っておるか?」
「全然です。」
「今日の朝、流魂街へ虚を討伐に向かった者がいたそうなのじゃが…お主で間違いないな?」
(あ、私の事だ…無断で流魂街に行ったから…ヤバっ!)
自分の置かれた状況を理解した瞬間、
体から尋常じゃない量の冷や汗が吹き出る。
(どうしよ…正直にはいって言った方が身のため…
いや、言わないと舌を引っこ抜かれる!)
総隊長は周りとは比べ物にならない程の威圧感を放っていて、
やる気になればいつでも殺されそうなイメージすら湧いてくる。
「あの、私も悪気があったわけではなくて…ただ、放っておいたらまずいかなと思っただけで、…。」
聞かれてることに対し、突然言い訳を語り始めた雲雀を見兼ねて、京楽隊長が口を開く。
「雲雀ちゃん、心配しなくてもボク達は君の舌を引っこ抜いたりなんてしないよ。安心して答えてくれればそれでいい。」
「…はい。私です。」