第25章 last
早朝近くの深夜、四人が泣き疲れて床で眠っているのを眺めると私も泣きそうになった。
絶対に涙は流すまい、と涙腺を抑えてグッと堪えていると、具象化した艶斬が私に話しかけた。
『悲しいね。僕も君を失うのは残念だよ。』
「…あなたがいなければ私はもっと前に死んでたわ。今までありがとう。この子達を、どうかお願い。」
艶斬は私の頭を撫でるような動作をして、私を慰める。
『ああ。君の仲間は僕が護るよ。…もう、全て終わったんだ。安心して眠りにつくといいよ。』
「…ありがとう…今まで本当に色んなことがあったけど、一緒に居れて良かった…。」
『僕もだよ。君と一緒に戦えて良かった。』
艶斬が姿を消すと共に昇り始めた朝日。
私は光に導かれるまま、嘉宗の日記を手に森の中を進んだ。
自分の体から残り少ない霊力が抜けていくのが分かる。
私があの木の元にたどり着いた時には、もう息が上がって体を動かすのは困難な状況だった。
ズルズルと背中を木の表面に擦り付け、地面に力なく座り込む。
嘉宗の日記を開くと、爽やかな風が吹き抜けた。