第25章 last
「あなた達に会えて本当に良かった。絶望に沈んでた私を救ってくれたのは、紛れもなくこの零番隊よ。」
「隊長…僕達は…。」
「出会いがあれば別れが付き物。私は十分運命に抗ってきたわ。だからもう身を任せる時が来たのよ。」
四人は俯いて、黙った。
先に沈黙を破ったのは大破だった。
「これから、どうしたらいいんですか?」
「そうね…今までと何も変わらないわ。慶、明日からあなたが隊長よ。」
ゆっくりと顔を上げた慶の目には、悔しい色が滲んでいた。
「僕は、この零番隊の隊長は雲雀さんしかいないと思ってますから…。」
「慶…こんな形で継がせてしまって申し訳ないと思ってる。でも、ここで終わらせる訳にはいかないの。受け入れて欲しい。」
返事は無かった。
きっと慶も心の中では分かっているはず。
私は腰に携帯していた艶斬と礫仙華を外し、慶に差し出した。
「あなた達になら任せられる。」
慶はおずおずと二本の斬魄刀を受け取り、私の言葉にギュッと斬魄刀を抱きしめた。
「明日の朝、私はここを出るわ。あなた達は一番隊に行って、総隊長に零番隊の隊長が変わることを伝えて。後は総隊長が何とかしてくれるわ。その二本の斬魄刀は、零番隊で保管しておいて。」
私が言い終わると、三人がさっきまで堪えていた涙が溢れ、慶は何も言わずに唇を噛み締めて、ただ何度も頷いた。
「隊長の側に居れて、私幸せでした!」
震える声を精一杯振り絞って、純可が涙ながらに微笑むと、四人が一斉に私に抱きついて子供のように泣いた。