第25章 last
「もう!阿近さんがいたから良かったけど、もし何かあったらどうするつもりだったんですか!」
夕方になっても帰ってこなかった私を相当心配していたのか、隊首室で皆に囲まれ、純可が声を張り上げて怒る。
「ごめんごめん、そんなに怒らないで。」
「怒ってません叱ってるんです!」
「まあまあ落ち着きましょうよ純可さん。」
「確かに外に出たくなる気持ちはわかんねんけど、どこに危険が潜んでんのか誰も知らん訳やし。」
そうだそうだと皆が大破の言葉に頷き、私も皆の気持ちを思うと言い返す言葉が無かった。
それでも、私はなぜかあの場所に行きたかった。
嘉宗が見つけた場所、昔の零番隊の風を感じれる場所。
「ごめんね…でも、話しておかないと、ダメだよね。」
私が何を言おうとしてるのか、私から発せられる空気感から何か感じ取ったらしく、皆がシンと静まった。
「私、知ってるの。私の霊力がいつ無くなるか。」
「え…それって、いつ…。」
血の気が引いたように青くなった楓我が、聞き返す。
「…明日。」
その瞬間、場の空気が完全に凍りついた気がした。
「う、嘘…冗談言わないで…そんな…。」
今にも泣き出しそうな純可が床に崩れ落ちる。
「隠し通すつもりだったの。だから内緒で外に出て、まだ見たことない世界を見たかった。」