第25章 last
「ほんとだ…あった…。」
二時間ほど森の中を歩いていると、木々の間から明るい光が漏れているのを見つけ、入りやすそうな草むらを掻き分けて進むと、日記に記されていた通り、広い空地のような場所にたどり着いた。
辺り一面様々な花が咲き、中心に思える少し盛り上がった丘のような所に力強く立つ一本の木がある。
光が降り注ぐ幻想的な花畑。嘉宗もここを見つけた時はとても感動したのだろう。
しばらく呆気に取られていたが、多分皆が心配するだろうと思い、私は明日また来ることを誓って零番隊へと戻った。
案の定「どこ行ってたんですか!」と慶や純可に怒られたが、私は明日の皆が零番隊にいない時間に行こうと密かに作戦を立てていた。
「よし…今の内に出よう…!」
次の日、零番隊から抜け出していざ森の中へ行こうとすると、後ろから誰かが私を呼び止めた。
「雲雀?何で出てきてるんだ?」
「あ、阿近さん!実はですね…凄い所を見つけまして…。」
「凄い所って、その前にお前大丈夫なのか?」
心配そうに見つめる阿近に「大丈夫大丈夫」と微笑む。
「そうだ、阿近さんも一緒にどうですか?」
「んー…お前に何かあったら大変だからな。わかった。」