第24章 precious
「雲雀はいくつになっても一番の友達だよ!だから、もし雲雀がくよくよしてたらあたしが許さないからね!」
腰に両手を当てて、「えっへん」と言わんばかりに笑う彩李に雲雀も笑う。
「じゃあ、彩李がくよくよしてたら私は怒りに行ってあげるからね!」
雲雀も彩李と同じポーズをとって、見つめ合った二人は勢いよく吹き出した。
「はははっ!私達、似たもの同士だよね!」
(…ああ…そうか…あの時彩李が言い残したことって、これだったんだ…。)
私は小さな少女達を眺めながら、彩李の最期を想った。
彩李は私が止めに来てくれるのをずっと待ってたんだ。
私は、本当に彩李の期待に応えられたのだろうか。
溢れ出る気持ちを抑えるように、零れそうになる涙をぐっとこらえ、目を閉じた時に私は現実世界に戻ってきていた。
目を開けると私の手に収まった礫仙華が、白い輝きを放っていた。
それは温かくて、安らぎのある光だった。
(…慰めてくれてるのかな…?)
まるで泣いてる私を包み込むような優しさに、私は彩李からのメッセージを聞いた気がした。
(後悔するのは、彩李が望んでることじゃないよね。)
私がそう思うと、礫仙華がいっそう強く輝き、そして光が消えた。
「…ありがとう。」
彩李の魂が宿ったこの斬魄刀を、一体どこに置けばいいのか。私は悩んだ末、艶斬と同じように腰に携帯することにした。
斬魄刀二つ分の重みで少し下にずれた腰紐をきつく括り直し、私は久々に技術開発局で涅の手伝いをしようと零番隊から出た。