第24章 precious
(…あれは…私と…彩李?)
「はははっ!雲雀ってほんとに走るの速いよね!」
「ええ!?全然そんなことないよ!」
「遠慮しちゃって〜!」
「してないしてない!よし、疲れたし、ちょっと休もうよ。」
「そうだね!」
私の家の庭で走り回っていた幼い私と彩李が、家の広縁へ行くために雑木林の一本道を並んで歩いていく。
(この記憶は…そうだ…この後確か花を…。)
「あれ?ねぇ雲雀、あの花見て!凄く綺麗…!」
彩李が雲雀越しに見えたピンクの花を指さして、駆け寄る。
私の記憶だというのに…何本か集まって咲いてるその花に魅入ったように、しゃがんで目をキラキラさせる彩李を見た私は目に熱いものが込み上げた。
「雲雀、こういうの詳しいんでしょ?名前何なの?」
「えーとね、ローダンセ?かな。」
「花言葉は?」
「んーとね…変わらぬ思い、終わりのない友情、だったかなぁ?」
雲雀の言葉を聞いて更にパッと明るく笑う彩李。
「私達にピッタリだね!」
(あ…この言葉を言われた時、すごく嬉しかったんだっけ…。)
「そうだね!私と彩李はずっと友達だもんね!」