第23章 rise
私以外の四人が任務に出かけている、ある日の正午。
(…やっぱり霊力が僅かずつだけど減っていってる。)
まだ周りの人は気が付いていない。
いや、気が付かないでいてくれた方が私としては楽だ。
余計な心配をかけるのはもう懲り懲りだ…。
窓の外を眺めながら肩を落とした時だった。
視界の上の方から地獄蝶がヒラヒラと降りてくる。
窓際に留まった地獄蝶から声がするのを待っていると…
(何かの任務かな?)
「…雲雀、儂じゃ。今から一番隊に来てくれるか。」
(いやいやこの前行ったばっかりじゃ…。)
「…はい。」
なんだか…綺麗な蝶から年老いたおじいさんの声がするのは風流が無い気もするが、言われたのなら仕方なかった。
(儂じゃ、って、名乗ってるつもりなんだろうけど…。)
もう色々と苦笑いの要素が多くて、落ちた気分も苦笑いと共に曖昧にできた気がした。
「総隊長、夔竜雲雀です。」
「思ったより遅かったな。入って良いぞ。」
(瞬歩が使えなくなったことがバレなかったらいいんだけど…。)
こういう些細なことが大事になるのを知っているため、私は悟られないように、といつもより明るめな顔で総隊長の前に立った。