第23章 rise
「四十六室から頼みごとがあってな…彰束彩李の斬魄刀をどうするか、雲雀に聞いてほしいと…。」
私は総隊長の側に置かれた木箱を見やる。
中からは確かに彩李の霊圧を感じ取れた。
「彩李の斬魄刀を?…四十六室で保管しなかったんですね。」
「王族の刀を保管するのは四十六室にとってもかなりの大事じゃ。
それに力が強大すぎる故、同じ王族に預けた方が安全じゃろうと。」
(彩李の斬魄刀を私が持っていていいの…?でも、彩李の物を近くに置くことで何か分かることもあるかも…。)
「私に、預けてもらっていいですか。」
「もちろんじゃ。雲雀、頼んだぞ。」
「はい。」
私は斬魄刀が入った木箱を抱え、零番隊の隊首室に帰ってきた。
床に箱を置き、蓋を取って中を確認する。
そこには彩李の斬魄刀が厳重に包装されて入っていた。
衝撃から守るために丸められた紙を取り除き、鞘にはまった斬魄刀を手に持つ。
「これが礫仙華…彩李の…。」
私が斬魄刀の名前を唱えた時、彩李が私に記憶を見せようとした時と同じ感覚が私を襲った。
肉体と精神が分離していくような感覚。
「…へ!?」
…しばらくして、私が目を開けると、そこには夔竜の屋敷の庭が広がっていた。