第23章 rise
「前にも言ったのですが…。」
やれやれという顔で薄く笑う慶に、楓我が更に追い打ちをかける。
「まぁ、年上には見えないもんな。」
すると皆が「だよね〜!」と言わんばかりの笑顔を浮かべる。
「私も慶はずっと敬語を使ってるから、てっきり一番年下なのかと思ってたよ。」
「…もう何の言葉も思いつきません…。」
「あ、そういえば隊長はいつから隊長やってるんですか?」
大破の質問に急いで記憶を振り返ってみる。
「四十二、三年前だったような気がするけど、実質三年ぐらいしか隊長してないね。」
四十年も空白の時間があったのだから。
誰もが気まずそうに息を飲んだのが分かった。
「そんなに浮かない顔しなくていいよ。どんな過去であっても私の一部なんだから、否定はしないよ。」
「私、やっぱり隊長のそういう所好き!」
「僕もそんな強さを持った隊長が好きで追いかけてきましたから。」
「…ストーカー発言やん…。」
「なっ!」
「ふっ、ははは。」
やっぱりこうして笑い合える零番隊が、私は好きだ。
いつの時代も変わらないものがあるとしたら、仲間の心ではないのだろうか。
一緒に居るだけで幸せになれる、幸せにしてくれるのは、きっと…。