第23章 rise
「私達がしたことは許される行為ではありません…。」
恐らく裁判官の中で最も年長であろう老爺が言った。
元から責めるつもりはなかったが、そう言われると更に責める気が無くなった。
「もういいんです。あなた達が間違っていたと悔い改めたのなら振り向く必要なんてありません。私はあなた達に謝罪を求める気なんてありませんから。」
ゆっくりと顔を上げた老爺に私は一番隊で記録してもらった紙を渡す。
「あ…。」
震える手で受け取り、私を見上げる眼差しはまるで神様を見ているようだった。
(いくら私が王族だからって大袈裟な…。まぁ仕方ないけど…。)
「それで、私に何か確認したいことがあったのでは?」
私の言葉に何か思い出したようで、ハッとした様子で口を開く。
「彰束彩李様がご用意された証拠品を処分するかどうかお聞きしようと思っていたのです。」
その時扉から証拠品を乗せた台が運ばれてくる。
「…ああ…うさぎのストラップ以外は処分しておいてください。」
私は台まで歩み寄り、血が固まって変色して元が何なのか分からなくなってしまったストラップを手に取る。
「用はこれだけですか。」
「はい。」
「では帰りますね。」