第22章 mail
「そうですか…。」
私はもういいだろうと思い、隣の部屋に居る楓我を呼んだ。
(どうですか。ちゃんと聞こえてましたか。)
(…隊長、俺…。)
(お母様の思いがわかって驚いたでしょうが、今はこちらに来てください。)
「本人を呼びました。どうぞ二人でお話し下さい。」
「は、はい…。」
本当にすぐに、楓我が隊首室の扉を開けた。
浮かない顔をして、私の姿を見るなり目を大きく開く。
そして少し安心したように笑って、目線を母親へ移した。
「お母さん…。」
「私はこれで失礼させて頂きます。」
そう言って出て行こうとした私を楓我が呼び止める。
「待って下さい、隊長に助けてもらいたいことがあるんです。」
「…わかりました。」
真剣な声と表情に押され、私は壁際に立って二人の様子を静かに見届けることにした。
「…楓我…ちゃんと仕事はしているんだろうね?」
「してるよ。ずっとなりたかった死神になれたんだ。今更手を抜くなんてことしないよ。」
「でも貴方は死神には向いていません。」
「…確かに俺は向う見ずで周りに心配や迷惑ばかりかけてると思う。けど、初めて憧れができた時…夢ができた時、本当に目に見えていた景色が意味のあるものだと思えるようになった。」