第22章 mail
ゆっくりと頷き、口を開いた。
「私達秋澤家は下級貴族ということはご存知でしょう。しかし私達の跡取りはもう息子しかいません。」
「その楓我が死神になることが嫌だったのですか。」
「…はい。あの子は…小さい頃から無鉄砲でやんちゃばかりして、私達がいくら危険だから止めなさいと言ったことも聞かない子でした。ある日友達と遊びに出た時に、虚が瀞霊廷を襲撃した事件が起こり、命からがら逃げてきたという話を聞いて…」
(私が楓我に影響を及ぼしてしまった…か…。)
辛そうに語る彼女を静かに見守る。
「それなのに、翌日突然死神になりたいと言い出して…。どれだけ危険と隣り合わせなのか、あの子もよくわかっているはずなのに。ただ一人の子どもを死にに行かせるなんて、私達はできないと反対しました。しかしそれも無視して霊術院に入って…あの子の性格のことだから死神になった後、今日死んでしまうんじゃないか明日死んでしまうんじゃないかと心配で…。」
楓我の母が涙ぐんだ目を手拭いで拭く。
「お母様…楓我からどうして死神になりたいか直接お聞きになったことは?」
「憧れの人がいるから…とだけ言われました。それ以外は何も。」