第22章 mail
「では家の跡継ぎには意味が無いと?」
「…死神にしか目がない俺にとったら意味が無い。でも、さっきの話を聞いて、代々続いてきた秋澤家を俺で終わらせることになるんだって、改めて思い知らされた。」
私は自分の境遇を思い出して目を伏せた。
私も、最後の夔竜の当主となるまでは跡継ぎの実感がなかった。
そもそも死神になるために瀞霊廷へ来たことが、間違いだったのではと後悔する日々。
「でもやっぱり、死神になる夢を諦めて跡継ぎになったら、俺は絶対後悔すると思った。」
(…!)
「死神はいつ死ぬかわからないから危険だって誰でも思うけど、いつ死ぬかわからないから、皆今を必死に生きてる。俺達の仲間は、死神であることに幸せを感じてるんだ。」
強く言い切った楓我は、どこか懐かしい匂いがした。
(そうだ…私も後悔しない方をいつも選んでた…結果がどうであれ、道のりを重視してた…何で忘れちゃったのかな…。)
私は深い催眠から叩き起された気分だった。
「…お母様、どうかわかってあげてください。強い意思を持った人は誰よりも立派です。」
楓我の母は力が抜けたように溜息を一つつき、立ち上がった。
「やっぱり死神辞めたいって泣いても、素直に家には入れませんよ。」
「… はい!」