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奈落の底から【BLEACH】

第22章 mail


「…卯ノ花隊長、少し、外に出てもいいですか。」

私がここにいる間に、外はどんな変化を遂げたのか見ようと思った。卯ノ花はひと呼吸おいて、「いいですよ。」と私を通してくれた。

ベッドの横に立て掛けてあった艶斬を腰紐に通す。
寝たきりで鈍ってしまった身体を何とか動かして、四番隊から一歩出た所で周りを見渡してみた。
外の世界の様子は、前と変わらぬものだった。

(この光景、何回見たんだろう。)

もしかしたらこれが失われていたかもしれない。
そう思うとつい最近も見ていたのに懐かしかった。

私は取り敢えず零番隊の隊舎に向かうことにした。
隊長羽織を着けず、人気の無い道をひたすら歩く。
たまに誰かとすれ違うと二度見された。
瞬歩が使えればこんなことはないのだが、今の私には瞬歩も徒歩も変わらないスピードだろう。

夔竜の力を解き放った代償。
日を追うごとに霊力が少しずつ減っていき、最期を迎える時には霊力が完全に消滅する。自分がいつ死ぬのかがわかるカウントダウンがあの時から始まったのだった。

最早霊力が尽きるのを待つだけ。

(でもそれで良かったのよ…私の役目はもうこの世界を見届けることだけだから…。)

私は正と負の感情が入り乱れた重たい心を引きずり続けた。

そして隊舎がある森の入口に、綺麗な着物に身を包んだ女性の後ろ姿を見つけ、私はある心当たりを信じて声をかけた。
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