第20章 memorial
「燐光煌めけ…」
「やりなさい!」
解号を唱えている途中に彩李がファントムに命令し、ファントムが私に向かって飛んで来る。
「艶斬!」
始解の方が一拍早く、私は大剣でファントムを真っ二つに切り裂いた。上半身と下半身に分かれたファントムが私の横を通過する。
「一刀火葬。」
真っ直ぐ彩李を見つめたまま、後ろでファントムを完全に消滅させた。燃える灼熱の炎を背中で感じる。
「…まぁいいわ。素直にあなたの馬鹿な精神力を賞賛してあげる。」
「私がこうして立ったからには、もう負けはしないわ。」
「何で…何であんたは戦うのよ…何のために…!」
「何かのためじゃない。理由なんて後付けよ。私は目の前の戦いに勝ちたいだけ。」
(死んでしまった家族、仲間…今の仲間を守るなんて、そんな綺麗事じゃない…私が戦わなきゃ何もかも終わってしまう。)
「…。」
彩李の顔から感情が消え、扇子を高く掲げる。
頭の上から勢いよく振り下ろし、何も無かった私の周りに大量の鬼道や何かの攻撃が出現した。
(なるほど…これで分かったわ。)
何かの攻撃…死神による斬撃や斬魄刀の能力による攻撃。
それらが何の前触れもなく現れたということは、彩李が生み出しているのか、もしくは…時間を巻き戻している。
私は自分に向かって飛んで来る攻撃を身一つで躱す。
「何よその勝ち誇ったような顔は!」
「あなたの斬魄刀の能力が分かったのよ。」
「なっ!」