第20章 memorial
「まずはこの邪魔な結界をどうにかしなきゃねぇ…?」
不敵に笑う彩李が一歩一歩近づく度に恐怖が湧く。
しかしある変化にその誰もが釘付けとなった。
…あまりにも突然の事だった。
雲雀の周囲で青い風が吹き荒れ、雲雀を包み込む。
「何が起こって…。」
結界の中にいる死神達には感じ取ることができなかったが、彩李は消えた雲雀の霊圧が復活し、どんどん膨張していくのを感じていた。
「まさか…死んだはず…!」
「残念だったわね。」
「…っ!」
私は青い風の玉に気を取られていた彩李の背後に瞬歩で回り込み、振り向きかけた彩李の背中に蹴りを入れた。
数メートルまで飛ばされ、倒れた彩李が顔を上げて私を見る。
「どうしてあんたが生きてんのよ…!」
「簡単よ。預けていたものを返してもらっただけ。」
身体の傷が綺麗に消えているが、死覇装や隊長羽織がボロボロになっている私を見つめる彩李の目は、悔しさ一色だった。
艶斬の精神世界で、艶斬は私を抱きしめて耳元である事を囁いていた。
『僕が初めて君と会った時に言ったこと、覚えてる?』
「初めて会った時…?」
『僕が他のと違って、特別な斬魄刀だって言ったよね。その答え、今教えてあげる。』
「…うん。」
『僕は、君の家に代々伝わる斬魄刀なんだ。夔竜は世界を変える力を持つってことは知ってるよね?…その力によって創られたのが、僕なんだ。』
「…!」