第19章 bright
爆発音でキーンと耳鳴りがしていたのが治まり、聞こえてきた音に私は周囲で何か変化が起きていると思った。
ブクブク…グチョグチョ…ドロドロとした液体が動く音だった。
(立たなきゃ…)
何とか手足を動かしてヨロヨロと立ち、前を向いた。
「これは…どういうこと…?」
一匹のファントムが口を大きく開け、周囲に転がっていたファントム達を液体にし、鯨のように吸収していた。
周りのファントムを全て喰らったファントムはゆっくりと口を閉じた。するとブクブクと体が巨大化し、筋肉が何倍にも膨れ上がって私の五倍はあるであろう大きさになってしまった。
「シュミレーションではもうちょっと小さかったのに、本番でいきなり大きくなるのね。」
その様子を愉しそうに見下ろす彩李。
「今度こそ死になさい。」
彩李はもう斬魄刀を使うことなく、ただ自身の顔を扇ぐ。
ヴヴヴヴ…と唸り声を上げるファントムに、私は怖気づいた。
あの時の恐怖が私を支配するのがわかる。