第19章 bright
「なら僕は力ずくでもここを出させてもらいます!」
慶が結界に触れてもう一度霊圧を調節し始める。
『…久留原慶君、だったね。他人の話はちゃんと聞いておいた方がいい時もあるんだよ?』
慶は言葉では言い表せない程の恐怖を背中に感じた。
台詞だけでここまで戦慄が走ったのは生まれて一度も無かった。
『雲雀は、君が外に出て戦線に立つのを望んではいない。君は大人しく僕に守られるのが今は最善だ。』
「…だからって、見ているだけなんてっ…僕は何のために零番隊に…!」
倒壊した家の瓦礫の上で、楓我と大破と…怪我をした三人でずっと助けを待っていたあの時。
近くまで迫っていた虚を倒して、自分達を治療して安全な場所まで逃げるよう言ってくれたから、今生きている。
死神が戦う姿を初めて見て、こんな人になりたいって夢ができた。
雲雀の背中をずっと追いかけてここまで来たのに、雲雀の力になれることは何一つできていない。
慶の全身から力が抜け、ただ項垂れた。
艶斬はまた、戦う主に視線を戻し、行方を見守った。
斬魄刀を持つ者と持たない者。
どちらが勝つかなんて誰もが予想をつけていた。
しかし、雲雀は斬魄刀が無くとも全てにおいて技が秀ていた。