第18章 mirror
艶斬の始解を解き、死神達が密集している所の地面に艶斬を突き刺す。
「守って。」
艶斬に向かって呟くと、巨大なドーム状に広がった青い光が全隊をまとめて包み込んだ。
私は慶の側まで行き、腕の中の純可としゃがんで見つめ合う。
「…私のせいで、ごめんなさい。」
「どうして隊長が謝るの?私達、頼ってもらえて凄く嬉しかったですよ…?」
ほんの少し、微笑んだ雲雀の目には激しい怒りの色が滲み出ていた。
気持ちを切り替えて立ち上がり、私が結界の外へ出ようとするのを慶が呼び止める。
「隊長?まさかここから出るつもりじゃ…!」
「私は行かなければならないの。」
慶は一瞬押し黙って口を噤んだが、純可は私を止めようと身体が動かない代わりに必死に声を上げる。
「斬魄刀も持たずに戦おうなんて無謀です!私達なら大丈夫だからっ、お願いです隊長行かないで…!」
慶の腕の中で涙を流す純可には目もくれず、私は誰の説得も聞く耳を立てずに境界線を踏み越えた。
斬魄刀を持たない今、身一つでできる攻撃以外は使えない。
出た途端に一斉に向かって来るファントム達を撲滅する事だけに集中し、私だけのとっておきを惜しみなく披露する。
四方八方から私に向かって飛んでくるファントムを上手くよけながら、番号無しの詠唱破棄を何度も繰り返した。
「白雷!蒼火墜!赤火砲!雷吼炮!這縄、綴雷電!」
様々な鬼道や縛道が入り乱れ、地面には沢山のクレーターができ、ファントム達はまとまりとなって消えていった。