第18章 mirror
「なんですって…!」
私の頭に最悪な事態の文字が浮かぶ。
体中が戦慄し、冷や汗が毛穴という毛穴からブワリと噴き出した。あまりの不気味さにゴクリと生唾を呑み込んだ。
目の焦点が合わず、震えながら何人も重なって見える彩李を見つめた。
掠れた視界から彩李は背を向けて一瞬でどこかに消えてしまった。
(お、落ち、着いて…ダメ、死ぬなんて、ない…っ、ありえない…!)
何か方法は無いかとあっちこっちに目線を泳がせる。
丁度下を向いた時、夔竜の刺青が目に入る。
「…そうだっ!霊圧を解放して…っ!」
私は第一段階から第二段階まで解放しようと、刺青に力を込めるも何も起こらない。
(そんな…何で何も起こらないのよっ!!!)
焦りは頂点に達し、私は正気ではいられなかった。
そんな頃、ファントムと戦う四人は苦戦を強いられていた。
「間違いない、こいつら絶対強くなってる!」
太刀筋を見切られて攻撃を与えられなくなった大破が叫んだ。ファントムの様子がおかしいことに気が付いたのは他のメンバーも同じで、一旦慶の所に集まり結界を張った。
「まずい状況になりましたね…隊長の霊圧も感じなくなってしまいましたし…。」
言いながら慶が額の汗を袖で拭う。
結界を破壊しようと次々とぶつかってくるファントムの隙間から、黒い影が幾つも近くに集まっているのが見えた瞬間、四人は顔を見合わせた。