第18章 mirror
「待ちなさい彩李!」
森の中を走り、彩李の背中を追いかける。
「しつこいわね…!」
急に足を止めて振り返った彩李が私に向かって何かを投げた。小さくて丸い物体は私にぶつかるかと思いきや、数センチ手前で弾けた。
「っ…!これは…!」
瞬きをするよりも速く、私は黄色い光でできた球体の結界に包まれてしまった。
「それ作るの大変なんだから、無駄に暴れないでよね。」
彩李が私を鋭く睨みつける。
私はとにかくこの中から出なければならないと、霊圧を込めた右手で光の壁を殴る。しかし殴った時の感触がどんな結界よりも明らかに違うものだった。
「あーあーだから暴れちゃダメだって。あんたが何をしようと、それが壊れることはないわ。」
「まさか、嘘でしょ…反膜を作ったの!?」
大虚が同胞を守る時に使われる反膜を人工的に作り出すなんて、そんな事が可能だったということに度肝を抜かれた。
「ただの反膜じゃないわ。強度は普通の倍以上…もうあんたがそこから出られる可能性は零よ。」
(それだけの努力をしてきたのに…どうしてこんなことするの!)
私はただ悔しくて、唇を噛んだ。
「あんたがそうやって絶望してる間に、あの馬鹿な四人はファントム達に殺されるのよ。そろそろ気づいた頃でしょうね。一匹倒される度に他のファントムが強くなることに…。」