第4章 past
長々とした説明が終わり、近い内に入学試験が行われる事を知らされて外へ出た。
(うっわもう真っ暗。)
すっかり日が暮れて空には無数の星がキラキラと光っていた。
泊まる先なんて考えてない。
いつもならお手伝いさん達とお喋りしながら、フカフカの布団で眠気を待つのだが、
もちろん今手元に布団があるはずがない。完全に独りだった。
「おい、子どもが夜に出回るんじゃねーぞー。」
背後から声を掛けられ振り返ると、それはそれは厳つい容姿の死神が私を見ていた。
「お願いですから命だけはお助けをー!」
「誰が危険人物に見えるってぇ?」
「鼻絆創膏の69番。」
「俺は檜佐木修兵だっ!つーか何だその変なネーミングは!
こう見えて護廷十三番隊、九番隊の副隊長だぞ。」
「ふーん。」
「素っ気なっ!」
バカみたいなやり取りをしている時点で良い人確定であった。
このまま行けば私を泊めてくれるに違いないと希望が見えてくる。
「んで、お前家どこだ。」
(おっしゃ来た!予想どおりの展開っ!)
「…家は無いの。」
「はぁ?」
「家が無いから帰る場所がどこにも無いの。」
「……しゃーねぇな。俺ん家来い。」
(ふははははは。私に掛かればこんなモンよ!)
心の中でしめしめとドヤ顔を連発。
「良いんですか?」
「ガキが襲われたら面倒ごとになるしな。」
もう止まることを知らないガッツポーズが更に速くなる。
檜佐木の家に着いた後、ご飯を食べて風呂に入り、ようやく眠りに落ちた。
朝、目が覚めて布団から出ると隣で寝ている檜佐木はまだ寝息を立てていた。
(何か作ろうかな…。)
冷蔵庫を開けると丁度良い食材が入っていたので、
早速調理に取り掛かった。