第4章 past
「お、美味そうじゃねーか。」
「おはようございます。冷めないうちにどーぞ。」
「おう。」と嬉しそうに笑って席に座る檜佐木を見ていると
私も自然と笑顔になり、向かい合って朝食を食べた。
和食は料理担当の人から色々と教えてもらっていたため、
作るのに苦労はしなかった。
食べている間、「美味い」と何度も言ってくれて私の頬は緩みっぱなしで、顔が少し筋肉痛になってしまった。
昼と夜は檜佐木に連れられて外食、朝は私が作るという日が続き、いつの間にか試験日を迎えていた。
(何このテスト…面白くない!)
霊術院の入試でクラスも決まる事を思っても、机の上にある紙に印刷された文字が表す問題は本当に試験かって思う程趣が無い。
(適当に終わらせればいいよね…。)
真剣に解いている周りの生徒には申し訳なかったけど、
私はさっさと帰る事だけを思って試験を終わらせた。
結果、最下位のクラス。
だけど私は気にしてなんかいなかった。
死神になるための勉強はちゃんとさせてくれるし、
担任がどれだけ私たちの事を見捨てようと知ったことではないと…。
「瀬越!お前はいつになったら赤点を取らないように頑張ろうとするんだ!」
授業中はちゃんと先生の話を聞いて、真面目にノートを写していたが、頭の中は理科の内容で埋め尽くされ、教科書は読まずに理科の本ばっかり目を通す。
結果、歴代最高に頭が悪い生徒として認定される。
「瀬越!ちゃんと霊圧を込めろ!」
両手の刺青は霊圧を抑える力がある。
三段階で開放することができ、完全に抑えている状態では底辺の死神よりも霊圧が少ないのだ。段階と段階の間は大きな幅があり、開放しなくとも自由に上げ下げできるが、霊圧の調節法なんて知らない。
結果、へなちょこ鬼道しか使えない。