第17章 power
「ここですべてをお話します。…私はあの日、一つの王族邸から異質な霊圧が発生していることに気付き、零番隊全員で確認に向かいました。」
十三隊全ての隊長、副隊長、そして私の後ろにいる零番隊の四人が静かに私の話に耳を傾けていた。
「王族邸に到着した私達はそれぞれ別の入口から突入しました。しかし、その時にはその家にいた者、一人だけ生き残った者が居ましたが、全員殺された後でした。灯路は廊下で死体となっているのを発見し、私は訳が分からないまま捜索を続け、中庭に出た時、青い化け物に愛が殺されたのを見ました。丞は別の場所で霊圧が消滅。嘉宗は私の隣で斬られ、死にました。」
あまりにも残酷な内容に、誰もが不愉快な感情を顔に出す。
「そして私は何とか脱出し、罪を被せられ、捕らえられました。四十六室の裁判官達は証拠を捏造して私を投獄の刑に処しました。そして、釈放された私は真犯人の発見に力を注ぎ、先ほど、ようやく見つけました。」
「誰なのか、名前は言えるのか。」
総隊長が私に問う。
私は小さく頷き、その名前を口にした。
「十番隊第六席、彰束彩李…彼女は、王族です。」
私の最後の言葉に一瞬空気が凍りついた。
まさか総隊長ですら姿を直接見れない程高貴な身分である王族が、護廷に紛れ込んでいたとは、と。そして、今彼女は…
「でも彰束さんは死んだって…!」
雛森は震えた声で今問題となっている部分を突いた。