第17章 power
「どこを!?」
…と母と話した記憶がある。
母が話していたのは、紛れもなく夔竜の歴史であり伝説。
王族はそれぞれどんな力を持つのかが決まっている。
そうすれば夔竜は世界を変える力…。
それが艶斬の元になっているのだとしたら、私の意思で私が敵とみなす物を消し去る能力…この世の全てのものを、取り込む能力。
私は艶斬を鞘に戻しながら物思いにふけった。
幼馴染みの彩李はあの事件の真犯人で、青い化け物を作って、虚圏も支配下に置いて、こうして瀞霊廷を襲って…どうしてここまでするのだろうか。
いつの間にか瀞霊廷にあった虚の霊圧は全て消え、私の元に零番隊の四人が集合していた。
「皆さんの怪我がなくて何よりです。あとは護廷の者が無事かどうか…。」
「あ、地獄蝶…。」
楓我の目線の先にはこちらにヒラヒラと飛んでくる地獄蝶が一匹。
私の手に止まり、「緊急隊首会を開く。格隊長と副隊長は一番隊に集まるように。」と私達に伝えた。
「行きましょう。」
私はぐるりと全員を見て、これから本気の戦いが始まる事を目で伝えた。