第17章 power
交わった状態の刀を押し、前に進んで虚閃を避けたが、背中を掠めてしまって死覇装と共に切れた肉から血が溢れた。
「っーーーー!」
痛みに歪んだ私の顔を見て、ニタリと笑った虚を渾身の力を込めて首から左脇腹を斬り、頭を蹴って後ろの建物まで飛ばした。
そしてすぐに後ろを向き、小柄な最上級大虚の刀を受け止める。
「あんたなかなかやるじゃん。流石零番隊ってとこだな。」
「これぐらいできなければ、そんな大役は任されませんから。」
「あの人が言ってたよ。あんたは何もかもを持って生まれてきた奴だって。」
「…彩李がそんな事を…?」
「よっぽどあんたの事が羨ましいんだろうな!」
お腹に虚の蹴りをくらってしまい、体制が崩れる。
数十メートルズルズルと足を引きずり、ようやく止まったと思えばまた虚閃を撃たれ、息をつく間もなく回避して鬼道を放つ。
「破道の三十二、黄火閃!」
直径1メートルはありそうな黄色い光が最上級大虚に向かって放たれた。が、上に跳んでかわされてしまった。
(…チャンスっ!)
私は霊圧を込めて艶斬を構え直し、照準を最上級大虚に合わせた。
「何!?…グガァアアッ!」
始解した艶斬の能力である吸収で最上級大虚を霊子化させ、それを巻き起こした風と共に艶斬に取り込ませた。
最上級大虚の霊圧を取り込んだ艶斬の青い輝きが強くなるのを見て、私は艶斬の本当の能力と何故このような斬魄刀になったのかを理解した。