第17章 power
三体の最上級大虚は顔を見合わせた。
そして私に向き直ると、右端にいた者がねちっこく言葉を紡いだ。
「テメーさっき真犯人とやらが誰かなのかわかったんだろ?同じ奴が情報源に決まってんじゃねーか。」
「彩李が?何で虚と手を組んで…?」
「んなこたァ知らねぇけどよ、テメーを殺したら力をくれるって言うからやってやってるだけだ。」
彩李がそこまでして私を消し去りたと思っていたなんて。
一体どこで私達はすれ違ってしまったのだろうか。
大きな黒い闇が迫っているように肩が重くて、なんとも言えない悲しみが私の心を覆った。
何も言わずに動かなくなった私を見て、三体が動いた。
(っ…!)
一拍遅れて刀を構えた私に容赦なく同時攻撃を仕掛けてくる三体の中心から抜け、さっきまで話をしていた一体を斬る。
「チッ、やられたか…。」
そう呟いた比較的小柄な最上級大虚は私から少し離れた所で止まり、もう一体は私に攻撃を仕掛ける。
刀が交わる音が辺りに響き渡る。
刀を抜いての戦闘は随分としていなかったが、どうやら身体が覚えていてくれているようで、相手の太刀を受け止める事は容易にできた。
が、攻撃を当てられない。
防御一辺倒になってしまっているのを打開しようと、目の前の戦闘から集中力が遠ざかった時、離れていた小柄な最上級大虚が前触れなく虚閃を撃った。
(なっ、仲間を巻き添いにする気!?)