第17章 power
「この世の中はゴミクズばっかり。だからあたしが壊してやろうって思ったのよ。あんたもそう思うでしょ?」
「私は…。」
あの事件が起きた時、誰も私の事を信じてくれなかった。
誰も助けてくれなかった。
「結局、みんな自分さえ良ければ他人なんてどうだっていいのよ。あんたもよーく経験したはずでしょ?仲間だのなんだの綺麗事で表面固めといて、いざとなったら見捨てることしかできない奴らばかり。」
胸が押し潰されるように痛くて、うまく息ができない。
塞がりかけていた傷をえぐられているようだった。
「あ…ぅ、でも、私の仲間は…そんな…。」
「へぇ〜。まだそんな事が言えるんだ?あたしはてっきり堕ちたと思ってたのにねぇ…。」
「彩李、もうこんなことやめよう!?私もう耐えられない…っ。」
「はぁ?馬鹿じゃないのあんた!?死にたいなら死なせてやるわ!」
彩李の掛け声で空に亀裂が入り、虚達がどこからともなく現れて、瀞霊廷を襲撃してきた。
「じゃ、ゆっくり楽しむといいわ。」
彩李は目にも止まらぬ速さでその場から立ち去り、姿を眩ませてしまった。
「待っ、しょうがない…燐光煌めけ艶斬!」
今は虚討伐が優先だと自分に言い聞かせ、瞬歩で先を急いだ。