第17章 power
「いやぁ〜、そんなカッカしてないで、ここは俺らの隊長が言う気になるまで待った方がええんとちゃう?なー。」
「そうそう。こんないきなり大人数で押しかけたって、喋る気にはなりませんよ!」
「僕達も今そんな事件が起きたと聞いて、驚きました。」
「昨日の夜って言ったら、隊長はずっと自分の部屋にいてたぜ?」
「あなた達…。」
私をかばうように前へ出てきた四人に、今までうるさかった人達が一瞬で黙ってしまった。
「事情は、後でお話します。今は私を見逃してください。」
私は後ずさりながらそれだけを言い捨て、四番隊へ向かって瞬歩で急いだ。
(あれは人…?)
すぐに到着した四番隊の屋根の上に、誰かがいる。
その人はゆっくりと私の方を振り向き、ニタリと口角を上げた。
「二番隊の隠密機動も使えないわね。こんなに早く来ちゃうなんて。」
「彩李…まさか本当に…。」
「あれ?まさかまだハッキリしないままここに来たの?全く…あんたの部下も家族も、みっともない死に方だったわねぇ…。」
冷たい風が吹き、鮮やかなピンクの髪が揺れる。
「っ!?」
もう間違いない。全ては彩李が仕組んだことだった。
「どうして…あなたがそんなことを…。」
「あんたをとことん苦しめたいからに決まってんでしょ?まだ信じたくないとか抜かしてる訳?」
また、自分の中の何かが壊れていく。