第16章 average
後ろでガシャンと扉がしまると同時に、島谷が口を開いた。
「刀を下ろしてもらえますか…?決して瀬越さんの要求に反することはしませんので。」
「信用できる?」
「はい。」
「…いいわ。」
私は艶斬をしまい、島谷に尋ねた。
「あの事件の証拠品はどこ?」
「…ついてきてください。王族が関わっているということで、最も奥の部屋に保存されているのです。」
扉を何枚もくぐり抜け、最奥の部屋にたどり着くと、そこは最も小さな部屋で、真ん中に置かれた台の上にポツポツと証拠品が並べてあるだけだった。
「この冊子をめくってください。」
私は島谷に言われた通り、紙を糸で冊子状にされたものを手に取り、中を見る。
「これは…証拠捏造の記録…?」
遺体発見の時刻から私に関する情報まで、何もかもが事実と反することが資料としてまとめられていた。冊子を見る限り、間違いなく何者かの陰謀によるものだと思った。
「…どうしてそんな記録を残しているの?」
「わかりません。」
こんな物、四十六室以外の者が見たら裁判官の誰も言い逃れできないのに、なぜ危機を冒してまで保存しているのだろうか。
「…瀬越さん、釈放された後僕の父に会いましたよね?」