第16章 average
「本当ですか!ありがとうございます!…えっと、もう一つお願いが…ありまして」
「なんだ?」
「現世任務の時のチームを、少人数にして欲しいんです…だって、多すぎてもあたしの勉強にはならないじゃないですか。」
「…お前の言う通りにしてやる。それ以外に希望はないな?」
「はい!ご承諾していただきありがとうございました!では!」
深く一礼した彩李は、振り向きざまに私を横目で見やり、薄い笑みを零して部屋を出ていった。
(何か…彩李は何かを隠してる…調べなきゃ。)
どうしようもなく騒ぐ勘が、今すぐ動けと私に司令する。
「失礼しました。」
「あっ、」
「おい!」
私も同じく頭を下げ、急いで十番隊の隊舎から飛び出した。
(聞こえる?今すぐ四十六室に侵入したいの。)
頭に指を当てて、この前会った最後の生き残りである使用人に頭の中から語りかける。
(はい。おっしゃった通り、侵入経路は確保済みでございます。今、そちらへ向かいます。)
十番隊から少し離れた場所に立ち止まると、彼女は3秒も経たないうちに私の隣に姿を現した。
「お待たせいたしました雲雀様。私にお任せ下さいませ。」