第16章 average
「おい、上官を呼ぶ時は自分の名前を言ってからだと言っただろ。」
今まで黙って項垂れていた日番谷は、どうやら気分が優れないようで。イライラした声で扉越しの人物に話しかけた。
「あ、ごめんなさい。第六席の彰束彩李です!隊長にお話があって来ました、入ってもいいですか?」
日番谷はそれにすぐ答えることはなく、私の目を見てきた。
私と彩李の関係を気にしているらしい。
「…私は気にしませんが。」
「分かった。入れ。」
「はーい!」
元気よく返事して扉を開けた彩李は目的の日番谷を見ることなく、最初から私を見ていた。偶然ではなく、必然的に目が合った…私はなんとなくそう感じた。
「雲雀!久しぶりだね!」
「はい。」
「もぉー!はいじゃなくて、うんでしょ!あたし達の間に敬語は不必要なのよ!」
「そうね。」
チラッと隣の松本を盗み見すると、若干肩に力が入っていて周りより空気が冷めている。よっぽど彩李のことが苦手なのか。
「あ、本題なんですけど…あたしですね、今度の現世任務、行きたいと思ってるんですけど…いいですか?」
日番谷の眉がピクリと動く。
「…席官だからまだ安心できるが、実戦経験はあるのか?」
「ないです!だから今回勉強を兼ねて行きたいんです!」
困り果てたように息を吐き出して、少しの間日番谷は考え込んだ。
「…良いだろう。だがチームで行ってもらう。」