• テキストサイズ

奈落の底から【BLEACH】

第16章 average


「雲雀…俺は、今でも分かんねぇ。お前が本当に犯人なのか犯人でないのか…俺の取った行動が正しいのか正しくないのか…」

「日番谷隊長はその時も迷っていましたか?」

「…あの時は頭が真っ白で何も考えられなかった、自分の行動を迷う余裕なんてなかった。」

「なら何故今後悔しているのですか。私を見て惨めに思ったんですか。あの時貴方だけが別の行動を取ったとしても、結果は同じなのです。」

日番谷は「違う」と言いかけた口を閉ざし、私から視線を外した。

私も自分に訪れた変化に少し戸惑った。
何故だろうか。胸が痛い。奥からジワリジワリと滲み出てくるような、熱く重い痛みだ。

自分の胸元に手を当てて静かに息をしていると、隣で聞いていた松本が私に話しかける。

「雲雀、それ、どういう事よ?」

「…お教えできません。」

日番谷がどれだけ動いても、結果は同じなのだ。
四十六室の裁判官達によって私は牢獄に入れられる。
絶望を味わうのは、私だけでいい。

「どうしてもダメなの?その理由も教えてくれない?」

「はい。」

「なんで…?私、そんなに力にならない?」

「そんなものはは要りません。私は一人で良い…」

パシンッ!

台詞を言い終わることなく、静かな部屋に乾いた音が響いた。
後から襲ってきた頬の痛みに、胸元にあった手で頬を覆う。

「それ、本当に本心で言ってるの…!?昔のあんたは、周りを頼って頼られる存在だったのを忘れたの!」

「…。」
/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp