第16章 average
「配属…。」
「ああ。面接の時にな、お前の名前を言ってた。瀬越雲雀とは知り合いだってな。」
「それ以外は、何も言っていませんでしたか。」
「お前についてはそれっきりだった。本当に知り合いなのか?」
「はい。幼い時から一緒に過ごしていました。」
昔、彩李とはよく私の家の庭で遊んでいた。
彩李は本当に優しくて純粋で、一緒に居てて嫌になることなんて無かった。
その彩李が、護廷に入隊した…。
「なるほど。あいつは十番隊の六席だから、もしかしたらこれからもっと上に行くかもしれねぇな。」
私は日番谷の言葉に耳を疑った。
(六席…?彩李は霊術院を出たの?)
霊術院を出ていなくても護廷には入れるのだろうが、それでもいきなり席官入りなんて、霊術院の成績が良かったのか他の隊長のゴリ押しか。
「彩李は、霊術院の卒業生ですか。」
「そうだ。成績は良かったらしい。」
「あっ、でも!」
私達の会話に松本が割り込み、深刻な顔をして私の耳元で呟いた。
「彰束彩李って子をね、霊術院関係者の誰も知らないのよ。」
「おい松本…」
「隊長!これは重要なことですよ!」
(…霊術院卒業生の彩李のことを、誰も知らない…。)
「彩李はいつ霊術院を出たのですか?」