第15章 explore
「…?」
純可の呟きに私はすぐに言葉を返すことができなかった。
「隊長、私の誘いを断らなかったじゃないですか。分かってたんですよね、私が隊首室の前にずっと居たの。」
二人の間に暫しの沈黙が訪れる。
(そう言えば…純可はこう見えて賢い人だったわね。)
149cmの、私よりもずっと小さな女の子でも、内側に秘めてるものはどこまでも大きかった。
「霊圧抑える気がない人が扉の前にいたら、誰だって分かる。」
「うふふ。それもそうですよねっ!あ、そろそろ花火が上がる時間ですよ!」
丁度その時瀞霊廷の中心部分から、ピュー、と花火が夜の空に打ち上がる音が聴こえた。
すぐに他の花火も、次々と黒い背景にドンッと花を咲かせる。
人々は立ち止まり、空を仰いで色彩豊かに輝く光を眺めた。
「わぁあ〜っ!やっぱり花火って何度見ても感動しますよね!」
私に寄り掛かっていた純可が、私の腕を両手で抱きしめるようにしてはしゃぐ。
「ほらほら今の凄かったですね!火の滝みたいで…これも大きくて良い…!」
とても楽しそうにする純可の顔を上から盗み見すると、ふとこちらを見上げた純可と目が合った。
眩しい光を放つ純可の瞳に宿るものが、私の過去を呼び起こす。